

「AIに仕事を任せたいけど、何をどう設計すればいいかわからない」
そんな悩みを持つ個人開発者や少人数チームのために、僕が構築・運用しているAIシステム NAIS(ナイス) について紹介します。
NAISってなに?#
NAIS(Nainaism AI System)は、Notionを中心に据えた個人向けAIシステムのアーキテクチャです。
ひとことで言えば、
NAISは大きく 2つのサブシステム で構成されています。
| サブシステム | ひとことで | やること |
|---|---|---|
| 🏢 AI Office | 業務運用・意思決定 | 日常業務の自動化、データ分析、戦略的な意思決定のサポート |
| 🏭 AI Factory | 開発自動化・生産 | コードの自動生成、PR作成、テスト — 開発作業そのものを自動化 |
flowchart TB
NAIS["🏛️ NAIS"]
OFFICE["🏢 AI Office"]
FACTORY["🏭 AI Factory"]
NAIS --> OFFICE
NAIS --> FACTORY
subgraph OfficeArea["業務運用・意思決定"]
O1["スキルシステム"]
O2["エージェントシステム"]
O3["Workspace運用OS"]
end
subgraph FactoryArea["開発自動化・生産"]
F1["Job管理"]
F2["Mac Worker"]
F3["Discord通知"]
end
OFFICE --> OfficeArea
FACTORY --> FactoryAreaなぜNAISを作ったのか#
AIツールは日々増えていますが、ツールを個別に使っているだけでは「仕組み」にならない。
例えば:
- ChatGPTで文章を書く → どこに保存する?次に誰がレビューする?
- Claude Codeで実装する → タスクの優先順位は?完了したらどう報告する?
こうした 「AIの仕事を管理する仕組み」 がないと、結局人間が全部つなぎ合わせることになります。
NAISは、この 「つなぎの部分」を設計する ことで、AIが自律的に動ける環境を作ります。
AI Office — 業務のAI化#
AI Officeは、日常業務をAIで回すためのシステムです。核心は 2層構造。
Layer 1: スキルシステム ⚡#
スキル = 単一の明確な処理。いわば「マクロ」や「ショートカット」のようなもの。
- 日次サマリーを作成する
- スライドを自動生成する
- タスクを分解する
数分で終わる、再利用可能なワークフローです。
Layer 2: エージェントシステム 🤖#
エージェント = 複数ステップにわたる複雑な処理。いわば「プロジェクトマネージャー」。
- 戦略資料のリサーチから作成まで
- プロジェクト設計と実行計画
- 定期的なデータ収集と分析レポート
エージェントは 4つのフェーズ で動きます:
そして重要なのが HITL(Human-In-The-Loop) という概念。AIが計画を立てたら、人間が確認してからGOを出す。完全自動ではなく、人間がハンドルを握り続ける 設計です。
AI Factory — 開発のAI化#
AI Factoryは、Notionで「作りたいもの」を書くだけで、自宅のMac miniが自動でコードを書いてくれる システムです。
仕組みはシンプル#
- Notionにタスクを書く(Goal、完了条件、制約など)
- factoryd(常駐プログラム)がタスクを検知
- Mac miniでClaude Codeが自動起動 → コード生成・テスト・PR作成
- Discordで進捗を通知 → 人間が確認・介入できる
- 完了したらNotionに結果を書き戻し
flowchart LR
A["📝 Notionでタスク起票"] --> B["🏭 factorydが検知"]
B --> C["💻 Claude Codeで自動開発"]
C --> D["📢 Discord通知"]
D --> E["👤 人間がレビュー"]
E --> F["✅ GitHub PR マージ"]介入したいときは、PCやスマホからSSHで直接Macに入って、AIと対話することもできます。完全放置もできるし、リアルタイムで一緒に作業もできる。この柔軟性がポイントです。
NAISの4つの設計原則#
NAIS全体を貫く、大事な考え方が4つあります。
1. SSOT(Single Source of Truth)#
情報は Notionに一元化。「あのファイルどこだっけ?」がなくなります。タスクの定義も、実行状態も、成果物も、すべてNotionの1レコードで完結。
2. HITL(Human-In-The-Loop)#
重要な判断は 必ず人間が行う。AIは提案し、人間が承認する。安全性と品質を担保する仕組みです。
3. Spec-driven#
設計図(Spec)と実行記録(Run)を分離。プロセス自体を資産として蓄積 できます。一度作った「やり方」は何度でも再利用できる。
4. ページベース#
チャットの会話は流れて消えますが、ページに書き出せばコンテキストが永続化 されます。AIとの協働記録がすべて残るので、振り返りも引き継ぎも簡単。
具体的にできること#
NAISを使うと実際にどんなことができるのか、僕が日常的にやっていることから2つ紹介します。
🏢 AI Office: 会議するだけで業務が回る#
NAISでは、NotionのAI議事録と組み合わせることで、会議に出るだけで後工程が全部つながる状態を実現しています。
会議が終わると、NotionのAI議事録が自動で文字起こしと要約を作ってくれます。そこからエージェントが内容を解析して、決定事項・コミットメント・タスクなどをそれぞれの管理DBに自動で振り分ける。人間がやるのは、振り分けられた内容をさっと確認して承認するだけ。承認した瞬間、会議メンバーそれぞれに担当タスクが割り振られた状態になっているので、各自がすぐに自分の作業に取りかかれます。
つまり、会議をしたら議事録整理もタスク起票も不要。話すだけで、あとはシステムが勝手に回る。これがHITL設計の実用例です。
🏭 AI Factory: ブログサイトをNotionから丸ごと作る#
AI Factoryは小さなコード修正だけでなく、サイトの構築そのものにも使えます。このブログがまさにその実例です。
まずNotionにサイトの設計定義(SSOT)を作りました。といっても、自分でゼロから書いたわけではなく、Notion AIに要求を伝えて設計定義を生成してもらっています。カラーパレット、ロゴ、レイアウト、コンポーネント仕様——サイトに必要な情報がすべて1つのNotionページに集約された状態。それをそのままジョブとしてAI Factoryに投入すると、Mac mini上のClaude Codeが設計定義を読み取り、コードを自動生成してPRを作ってくれます。
運用フェーズでもやることは同じで、Notionのデザイン定義を書き換えてジョブを投げるだけ。サイト全体にワンアクションで反映されます。記事の管理もNotionで完結していて、Notionで記事を書いて公開ステータスにすれば、あとは自動でビルド・デプロイまで走る。CMSの管理画面もFTPも不要です。
Notionが設計書であり、管理画面であり、発注書でもある。それがSSOT × AI Factoryの威力です。
こんな人におすすめ#
- 🧑💻 個人開発者で、AIを「仕組み」として活用したい人
- 📋 Notionヘビーユーザーで、もっとNotionを活かしたい人
- 🤖 AIエージェントに興味があるけど、どう設計すればいいかわからない人
- 🏠 自宅サーバーやMac miniで何かやりたい人
まとめ#
NAISは、「AIと人間が一緒に働くための設計図」 です。
| コンセプト | 内容 |
|---|---|
| AI Office | スキル×エージェントの2層構造で、業務を自動化・高度化 |
| AI Factory | Notionで起票するだけで、Mac miniが自動で開発してくれる |
| 共通原則 | SSOT・HITL・Spec-driven・ページベースで、安全かつ再現性の高い運用 |
大事なのは、最初から完璧なシステムを作ることではなく、小さく始めて、使いながら育てていく こと。NAISも日々アップデートを重ねています。
今後の記事では、AI OfficeやAI Factoryの具体的なセットアップ方法や、実際の運用事例についても掘り下げていく予定です。お楽しみに!
